【登壇者】
 Amazon.com, Inc.
 Amazonビジネス バイスプレジデント トッド・ ハイメス
アマゾンジャパン合同会社
 グローバル調達事業部 アジアパシフィック調達本部 統括本部長 内山 一郎 
調達分野における大きな変革の波
「AIの登場は、おそらく1990年代後半のインターネット普及以来、最も大きな変革かもしれません」と内山は語ります。現在、調達分野で同時に進行する大きな課題として「地政学的な変化によるサプライチェーンの不確実性の増大」「それに伴うリスク管理の重要性の高まり」「AIの登場によるインターネット革命以来のテクノロジー変化」を挙げました。それを踏まえて、「調達モデルを変えて変化にいち早く適応できるよう、チームの力を向上させること、最新テクノロジーを活用して調達での競争力を維持することが求められている」と内山は強調しました。
これらの課題に対応したアプローチとして、Amazonビジネスでは「Smart Business Buying」を提唱しています。ハイメスは、「お客様がコントロールしながらより迅速に動けるようにしたい。そのために、Amazonビジネスはお客様がより賢明な購買判断を行いビジネスで本当の成果を上げるお手伝いをしている」と伝えました。続けて「Amazonのグローバルな物流網、AWSのテクノロジー基盤、そしてお客様へのこだわり。これらの強みを基盤として、Amazonビジネスはお客様にAmazonと同じようなレジリエンス、インテリジェンス、スピードを提供することを目指しています」とハイメスは説明しました。
Amazon自身の調達改革がお客様の利用するAmazonビジネスをレベルアップさせる
ハイメスによると、この「Smart Business Buying」を実現するには、「1.サプライチェーンのレジリエンスの強化」「2.テクノロジー活用による購買の効率化」「3.お客様に寄り添った継続的な改善」の要素が重要になります。それぞれの視点で、Amazon自身の調達の取り組みを内山が紹介しました。
1.サプライチェーンのレジリエンス強化
「前提としてAmazonでは『低コスト国調達(LCCS:Low-cost country sourcing)モデル』が重要な柱となっています。その背景には、単一の供給元・地域への依存を減らすことによるリスク分散、ベンチマークを用いた価格交渉の最適化、世界中のサプライヤーチャネル拡大、サプライチェーン全体の効率化といった4つの狙いがあります」(内山)
そして、これらを支える施策として内山が挙げたのが、「マーケットインテリジェンス(MI)」の大幅強化です。「優れたMIによる考察があれば、展示会からの情報や商社のおすすめを聞くだけにとどまらず、価格だけでなく信頼性やリスクなどを含めて多面的にサプライヤーを評価できます。これにより、スマートでデータに基づく意思決定が可能になり、同時に強靭で競争力のあるサプライチェーンを構築できます」(内山)
2.テクノロジー活用による購買の効率化
テクノロジーの活用について内山は、「調達の社内AIツール導入」を挙げました。これはAmazonの技術チームが開発したものであり、各カテゴリーの調達担当者がサプライヤーとの交渉に臨む方法を根本から変革するようなツールです。リアルタイムの市場データとあるべきコストのモデリングを組み合わせることで、価格に関する包括的なインサイトを提供します。バリューエンジニアリングの機会発見、契約書の自動分析など、現在の調達業務における特にサプライヤーとの交渉プロセスを強力にサポートします。
「これにより、属人的なやり方から脱却し、より戦略的で洗練された調達にシフトすることができます。複雑なサプライチェーンをデータに基づいて管理するうえで大きな前進となります」(内山)
3.お客様に寄り添った継続的な改善
この3つ目のポイントに関して、ハイメスは「Amazonの調達チームはAmazonビジネスのユーザーでもあります。そのため、Amazonビジネスは自社ソリューションを自前で厳しく検証し、改善できるというユニークな強みがあります」と強調します。
アマゾンジャパンにおける改善活動の取り組みの一環として、内山は「プロアクティブソーシング」を挙げます。その背景にアマゾンジャパンでは、同じ使用目的であるにもかかわらず、チームごとに異なる仕様の商品を購入しているというケースが過去にありました。
調達チームはAmazonビジネスを含む複数のサプライヤーからの商品を検討します。プロアクティブソーシングとは、購買行動を分析したうえで最適な購買を導き出して実践する取り組みであり、これを支えるのが社内AIツールです。「どのようなものを必要としているのかをこのツールに打ち込むだけで、AIエージェントからコスト効率やニーズの合った最適な商品やサプライヤーが提案されるようにしました」と内山は説明します。
さらに、このプログラムは単なるコスト削減ツールではないと内山は強調します。「このように最適な購買を導き出そうとした結果、現在Amazonプライベートブランド製品の購入も増やすことになり、コスト削減につながっています。調達部門の視点から見た最も良い点は、これらの改善が自分たちのためだけではなく、Amazonビジネスのすべてのお客様にも役立つことを実感できる点です」(内山)
調達人材の育成戦略と「学びの文化」
ここまでの議論を受けてハイメスは、「どれほど優れた戦略やテクノロジーがあっても、それを実践する人材がいなければ成果にはつながりません」と人材の重要性を指摘しました。
さらに内山も、「世の中の大きな変化に対応するため、拡張性のある能力を伸ばすに注力しています」と続けます。属人的な対応から脱却するため、標準化された調達システムやツールの整備を進めていると説明しました。
例えば交渉で、買い手とサプライヤー双方が互いの行動を予測しながらWin-Winな結果を導けるようにゲーム理論を導入し、またコストエンジニアリングプロセスを取り入れることで、データやベンチマークに基づき双方にとって妥当な価格を設定できるようにしています。その他、既存のチームメンバーをグローバルプロジェクトに参加させ、視野と専門性を広げる機会を提供していると言います。
このような人材育成の取り組みを支えているのは、Amazonに根づく「学びの文化」です。「長期的な視野のもと、継続的な努力と忍耐を重ねて取り組んでいます」と、内山は語ります。この発言を受けてハイメスは、「Learn and Be Curious(学び、好奇心を持つ)」というAmazonのリーダーシッププリンシプルの1つを紹介。「今こそ学び、探求心を持って、新しいテクノロジーがもたらす可能性を最大限に活かすときです」と強調します。
講演の締めくくりとして、内山は「調達・購買は常に進化しており、その変化をリードしているのはお客様です。Amazonもまた、Amazonビジネスの一利用企業として、自ら変革を推し進めています」と語りました。
Amazonビジネスは、自社の調達チームの高い要求水準を反映しながら今後も進化を続け、世界中のお客様の戦略的な購買への転換を支えていきます。
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